【SENQ x SDGs x SuperOrganicHD 主催 】
スーパーオーガニックでは、イノベーションオフィスSENQ京橋と連携して、SDGsを学べるセミナーを開催しています。その第4弾として7月11日に行われた講演「サスティナブルマーケティング最前線」をご紹介します。
SENQ×SDGs×SuperOrganicHD
サスティナブルマーケティング最前線
~SDGsやESG投資企業の社会的評価が注視される時代~
グローバル企業の最新エシカルと、創業200年を迎える和菓子店のこだわりから、SDGsをテーマに講演していただきました。モデレータはスーパーオーガニックHD(株)の代表リカ・デリシャス。H.P.FRANCE(株)の坂口真生氏、そして(株)榮太樓總本鋪副社長の細田将己氏による講演をご紹介します。
リカ:私たちスーパーオーガニックは、活動そのものがサスティナブルマーケティングだと思っています。都内在住の外国人の方にオーガニック野菜をお届けするビジネスから始まり、日本初となるオーガニック弁当の事業開発を進めてきました。
予防医学という考え方のもと、セルフメディケーションを広げていきたいと考えています。また、「1%オーガニック」ということで、弊社の売り上げの1%を発展途上国でオーガニックや農業を営む方達に寄付を差し上げることも行っています。当社は創業7年目のベンチャーですが、これからご登壇いただくお二人は、方やエシカル最先端を行く海外企業として、方や日本を代表する老舗企業として様々な取り組みをされています。では、坂口真生さんからお願いします。
エシカルブランドの考え方と作り方
坂口:リカさん、ありがとうございます。H.P.FRANCE株式会社は、小売・卸、企画・生産、展示会の運営、コンサルティング、広報、芸術支援などを行っている会社で、2013年よりサスティナブル・エシカルブランド販促支援とコンサルティングをスタートし、昨年からはエシカル事業を社内ベンチャーとして展開しています。
エシカルという言葉、小売の方では知られてきていますが、まだ認知度は低いかもしれません。良心的な、倫理的な行動をとることを指す言葉ですが、イギリスが発祥と言われ、エシカルコンシューマーという雑誌が30年前に発行されています。ベルリンでエシカルに特化した展示会があり、海外では多彩に展開されています。
日本ではどうかというと、エシカルやフェアトレードの商品って売れないというイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。実際にそうだったんですが、少しずつ結果が出ていて、百貨店での1週間のポップアップで1,200万円を売り上げたケースもあります。
今日ご紹介したいのは、フードテキスタイルプロジェクトです。名古屋の豊島という繊維商社が食品残さを使って生地を染めるというプロジェクトを行っており、そのディレクションを担当しています。食品残さを使って生地を染め、その生地で物を作る。作られたものがフードテキスタイルというラベルになるというプロジェクトです。フードテキスタイルでは多くの有名企業がパートナーになっています。私の方では企業と企業を繋いで、仕掛けを考えることをさせていただいています。これからご登壇いただく榮太郎さんともコラボレーションさせていただきました。フードテキスタイルとSDGsがどう関係しているかというと、SDGsの「作る責任、使う責任」がまさにエシカルだと思っています。では、ここから細田さんにバトンタッチしたいと思います。
創業200年の和菓子店が考えるSDGsとは
細田:改めまして榮太棲総本舗の細田と申します。当社は1818年創業で、今年創業200年を迎えた和菓子屋です。江戸時代から手がけている商品に、榮太棲飴があります。丸い缶に入って、三角の形をした飴なんですが、実はオーガニックな飴です。和菓子屋とオーガニックという言葉は結びつかないかもしれませんが、当時、添加物はないんです。江戸時代からずっと変わらず、そういうものに頼らないのが一つの特徴となっています。SDGsの「作る責任、使う責任」に繋がっていくものと感じています。
例えば黒飴でも、添加物を使用しているもの、していないものはパッケージ裏面の成分表で見分けることができます。製造面からは効率的ではないかもしれませんし、値段も多少高くなりますが、真摯にオーガニックである製品が評価されるようになったらいいなと考えています。
200周年の記念品を作りたいと考えた時に坂口さんと出会って、フードテキスタイルに行き着きました。当社の梅干し飴は紅花の色素で色をつけています。黒糖飴は沖縄・小浜島のサトウキビを使います。紅花やサトウキビの搾りかすで染めた生地で200周年記念のTシャツを作りました。今回は社員のために作った非売品ですが、こうした意義のあることはこれからも続けていきたいと思っています。
質疑応答から見えてきた参加者の興味

質問者:マーガリンに含まれるトランス脂肪酸について
個人的には品質表示を見てから購入するので、マーガリンが入っていたら棚に戻します。これはエシカル消費の真髄でして、消費者が選択することで変わることは確かにあります。どういう消費行動につながるかは、マーガリンの印象や存在が何なのかというところが肝になると思っています。
質問者:エシカルマーケットはごく一部の人にしか浸透しないのではないか?
坂口:サスティナブルとかエシカルという言葉は出さずに、お客様がどんなライフスタイルを求めて、どんなものを買いたいかを第一に考えます。その延長線上にエシカルブランドがあるというのが理想で、あくまでもスパイス。ただ、接客のときに、どういう背景を持つブランドかを説明すると、二つ買ってくださったり、1週間のうちに何回も来ていただいたりということが起こります。売り上げもいいし、売り場の雰囲気も良くなる。エシカルマーケットを多くの方に届けることができる方法だと思っています。
リカ:坂口さん、細田さん、ありがとうございました。そろそろお腹も空いてくる時間だと思います。本日は、弊社のBENTONIPPONで使っているフレッシュな野菜をケータリングスタイルで召し上がっていただきたいと思います。野菜は朝採れの新鮮なものを北海道の洞爺湖町にある佐々木ファームさんからです。火を通さず、できるだけ生の状態で食べていただきたいので、バーニャカウダでご用意しております。食品添加物を使用していないイタリアのレモネードやナチュラルコーラ、クラフトビールなどの飲み物と一緒にどうぞ。本日はありがとうございました。
当日の飲食紹介
BETNONIPPON
日本初のオーガニック基準をクリアーした新時代弁当ブランドが登場。平和と環境改善のために、原料、製造、流通、全てを倫理的に行います。また、地域と食材の魅力、料理人の個性を一箱に表現していきます。オーガニック農業は、アジアではまだまだ 発 展 途 上 。約 4 4 億 人 の ア ジ ア の 人 々 み ん な に 、B E N T O NIPPON をお届けし、安心安全な食材の生産と、消費の両方を応援する。これが私たちスーパーオーガニックの使命です。
BALADIN
バラデンではビールを造ることに加え「農業」を重視した会社方針を持ち、ホップやビールの原料となる大麦の 80%以上をバラデン社で製造しています。環境にも非常に留意し、バラデンの工場ではCO2 の量を制限し、太陽電力を使用し、地球のパワーだけで製造しているのもバラデンの特徴です。
ISAAC(イザック):ホワイトビールといわれるオレンジピールやコリアンダーを使用した爽やかなビール。
Rocknroll(ロックンロール):はスパイスに 4 種の胡椒を使ったビールでホップの強い苦味とスパイシーな味が特徴です。
バラデンコーラ:原料はスローフード協会プレシディオ(味の箱舟)に認定されたアフリカ・シエラレオーネのコーラナッツを使用。コーラナッツを使って作られていたものがコーラの起源だそうです。チェドラータ:チェドロというイタリアの大きなレモンを使って作られた飲料。添加物は一切不使用。
※【味の箱舟】とは絶滅に瀕している貴重な食材、食品を救おうというノアの箱舟をもじったプロジェクトです。(協賛:三井食品株式会社)
講演者①:坂口 真生
ファッションと生活関連の小売、合同展示会や芸術支援を行う企業、H.P.FRANCE株式会社 エシカル事業部長。2013年よりサスティナブル・エシカルブランド販促支援とコンサルティングを開始。銀座三越、ルミネ、東急百貨店、阪急百貨店など商業施設にてエシカルキャンペーンの企画運営や、企業ブランドやプロジェクトのサステナブル・マーケティング支援を行う。
講演者②:細田 将己
株式会社榮太樓總本鋪 副社長。大学卒業後、三井物産株式会社入社。食・リテール周りのベンチャー投資、M&A等の事業投資を担当。2007年榮太樓総本舗入社。企画・販促担当役員を経て、2016年より副社長。
モデレータ:リカ・デリシャス
スーパーオーガニックHD株式会社 CEO。2011年、長男出産を契機に北海道に移住。オーガニック農家支援がきっかけで、外国人向けオーガニック野菜宅配を開始。2015年~2017年世界有機農業アジア連盟日本代表理事。2017年スーパーオーガニックHD株式会社を設立、日本初となるオーガニック弁当の一般流通化を狙ったBENTONIPPON事業を立ちあげる。
[サスティナブルマーケティング最前線]
■対象者:
SDGs・CSR・CSVに興味のある企業
今回の講演テーマ(食材リサイクル、オーガニック/エシカルファッション)に興味のある企業、新規事業や協業事例、食ビジネスに興味のある企業その他
■趣旨:
グローバル企業の最新エシカル※ビジネス事例の紹介と、創業200年を迎える和菓子の老舗「榮太樓総本舗」が採用した廃棄予定食材の利活用による【Food×Fashion】事例をもとに、企業の社会的責任を学ぶ。講演の後は名刺交換・ミートアップを予定。
※エシカル:「倫理的」を示す形容詞。転じて環境保全や社会貢献の側面を持つ事業や行動を指す形容詞として扱われる。
■主催:
オープンイノベーションオフィスSENQ京橋(運営:日本土地建物株式会社)