クソバッジ 新しい価値を生み出すデザインプロジェクト:山野英之
ジュエリー関連のイベントで見かけるバッジ屋さん。机の上一面に並べられたポップでカラフルなバッジが来場者の目を一瞬で捉えます。プラスチックの人形、木でできたパズルのピース、缶のふた、ロッカーキーのナンバープレートなどなど。世界に同じものが二つとない、その名も「クソバッジ」。雑誌GINZAなどで活躍するグラフィックデザイナー・山野英之さんが仕掛人です。
「クソバッジ」の素材は、山野さんが国内外のマーケットや土産物屋の片隅で見つけた、ガラクタやゴミのような存在のものたち。山野さんは、それらをバッジとして作り替えることで、新しい役割を与え、社会の中で再生させています。とはいえ、ガラクタならなんでもバッジにしているわけではなく、山野さんが一つ一つ胸にあてて、バッジとして大きさや重さや素材が適正を判断し、デザイナーの審美眼で「クソバッジ」として選んだものだけが、晴れてテーブル上に並びます。
山野さん曰く、「僕がやっていることは、それぞれのものが持つ価値を一度全部フラットにしてバッジとして生まれ変わらせること。でも実はお客さんの価値の考え方がものすごく試される試みだと思っている。」
300円から売られているという気安さもあり、大人も子供もあっという間に、まるで宝物さがしゲームのように、「クソバッジ」に夢中になります。クソバッジの次回販売は、12月5日~7日に3330Arts Chiyodaで開催されるNew Jewerly展にて。http://newjewelry.jp
山野さんが主宰するグラフィックデザイン事務所TAKAIYAMA inc.
Writer 西中川 京:1976年鹿児島生まれ。大学院在学中にオランダのユトレヒトセントラールミュージアムでインターンシップ。現在、株式会社TRUNKにてキュレーター/プロジェクトコーディネーターとして活動中。俳優のスティーブン・フライの大ファン。来春アムステルダムでのアートイベントを企画中。